塾で国語を教えた経験でもない限り、中学の国語こそ正体不明の教科だろう。
「読解力がないから国語が解けない…」
「国語の点数を上げるには読解力をつけないと…」
もし生徒が中1、中2、中3の1学期であれば上記のセリフはどちらも否である(長野県の場合は)。
断言するが中3の1学期までは国語は暗記科目だ。
テストに出る文章、更にそれのどこが大事かまで懇切丁寧に授業で教えてもらっていて、それがどうして暗記科目でない?
定期テストで国語の点数を上げようと思ったらとにかく漢字と授業内容の暗記、仕上げに文法ワークをきっちりこなせばどうにでもなる。
この段階で必要なのは読解力でも何でもなく授業中にノートを取る姿勢である。
ただし
中3の2学期以降、つまり総合テストや模試、もちろん入試では話が別だ。
それまで見たこともない文章に対応する力、すなわち読解力がもろに試される。
そして、実際に見たこともないのに申し訳ないが、学校のそれまでの授業が総合テストに必要な読解力を養成したという例をこの講師歴15年の間、ついぞ見たことがないのだ。
この点で中学国語というのは奇妙なねじれを内包している。
2年と少しの間、一生懸命に授業を聞いていればそれまでのテストでは点数が取れる。
が、その姿勢だけでは3年の夏休み明け以降のテストには対応できない。
なぜなら今述べてきたように、中3の夏休みを境に国語の「種目」が変わるからだ。
長距離走をやっていたのがいつの間にか短距離走になっている。
ラグビーをやっていたのがいつの間にかアメフトになっている。
国語も中3夏休み明け以降は「受験国語」などと科目名を変えた方がいい。
それまでの意識のまま突入したら取り残される。
ということで正しい心配の仕方はこうだ。
「中3の総合テストに備えて今からどうやって読解力をつけ(させ)よう?」
個人的には「読解力」など大仰な名前も抵抗を強める一因だと思っている。
まだ時間があるならとにかく読み慣れれば良い。
古くは星新一のショートショート、今なら「5分後に意外な結末」など超短編からで良い。
なんなら4コマ漫画でも良いかもね。
難しく考えずに文章に親しんで、結果として問題が解く姿勢が培われれば最高ですね。
ちなみにメリハリでは普段授業はしないが、中3夏休みにはガチンコ読解授業をするつもりである。
集団授業が有効に働く条件の一つ、「受講者全員にとって未知であること」を満たすからだ。
それほどまでに子供達は読解を読解として教わっていない。