3歳の時、絵本や乗り物の本より「北斗の拳」が最初の自発的な読書体験でした。
もうそれ以降ずーっと漫画が好きでいるんだけど、今はもう漫画が好きと聞いて顔をしかめる人はいないかな。
漫画の効能はいろいろとあるけど、子どもに読ませるならという観点で言うと個人的にぶっちぎりのNo.1漫画がある。
それが
「うしおととら」
もうだーいぶ昔の作品になってしまったけどつい最近?アニメになっていたような。
本当に大好きな作品だが、この後軽くネタバレします。
専門学校職員時代に
「俺はこの漫画で道徳を学びました」
と言う生徒がいた。
そうなんだよ、一つの作品としてのまとまりや、ラスボスの圧倒的なラスボス感とか語り始めると止まらないけど、子どもがこれを読んで
納得できる生き方を考えるきっかけになってほしいな
と思ってる。
「うしおととら」と同作者のもう一つの超大作「からくりサーカス」では
登場時悪役ならその後主人公の仲間になろうとも、人の道から逸れた登場人物は全員退場します。ことごとく全員です。
これだけ聞くと「悔い改めても報われないじゃん」て思われるかもしれないが、違う。
その人物たちの己の人生に対する決着(もちろんケリと読む)のつけ方が凄まじい。
彼らは笑って退場していく。
報われるためではなく、自分の人生に納得するために行動を起こすのだと彼らは教えてくれる。
他者の評価ではなく、自分の納得。笑ってその時を迎えるために。
幼い頃はそんなことを言葉にできた訳ではもちろんないが、言葉にならないなりに何回も何回も読み返して自分の血肉になっていった。
食事と一緒で、ここに語彙は要らない。ただ咀嚼があれば良い。
その後、大したことはできてはいないが
「他人は他人、自分は自分」という感覚が強く強く根付いた。
先述の生徒も気持ちの良い男だった。背筋をぴんと伸ばして授業を聞く、友人が間違ったことをしていると思ったら躊躇わずに注意する。
うしおととらにはそんな男に育つための種がある。