およそ15年ほど教える仕事をしているとそれはそれは様々な生徒に出会う。
特に塾講師歴の中で思い出そうとすると最初は生徒の能力が主なトピックになる。
10年以上塾講師をやっていると定期テストで合計480点以上取る生徒もそれほど珍しいケースではないけれど、その中でも天井が見えないと感じた生徒が一人いる。
それがS中学校に在籍していたK君だ。
彼のどんな所が記憶に残っているかというと、
2年生の終わりまで数学のテストでずっと100点を取り続けたことだ。
塾講師界隈では「100点満点と99点とでは雲泥の差がある」という意見に賛同する人間は多い。
中にはケアレスミスをして98点だった生徒を腹から叱った、なんて講師もいる。
それほどまでに問題を解ききって尚且つミスをしないということには価値がある。
それを2年間やり続けるというのはどう考えても尋常沙汰ではない。
3年生になってその記録は途切れてしまったけれど、そんなことが瑕疵にならないほど彼の功績は私の中で燦然と輝いている。
そんなK君の特徴としてはまず、
オープンマインドであるということが挙げられる。
大人に対しても変に構える所がなくごく自然体で接することができる。
人や物事に対して壁がないからその分教わった時の吸収が早いのだと思う。
そして「楽しい」のアンテナが高い。
質問に答えた時の「なるほど~」の顔がすごく楽しそうで、まるでゲームやスポーツで新しい技を覚えた子のようだった。
こうやって整理してみると、これで伸びないわけがないよなと感じる。
壁がない→吸収が早い→分からない所を解決→楽しい→もっとやる
という永久機関を備えていたのだから。
以前たまたま新聞で高校の新任教師の欄にK君の名前を見つけた。
特徴的な名前なので間違いない。
学ぶことの楽しさを知る彼がどんな教育をするのか、いつか見学に行ってみたいと思っている。
~今日の一曲~
「あの頃はなにもなくて それだって楽しくやったよ メロディー 泣きながら 遠い空流されても」
玉置浩二「メロディー」