生徒の御祖父母様が塾の近くでお店を営んでいらっしゃるという。
先日差し入れに頂いた麦から作る麦茶が美味しく、今度購入させていただこうとお店の休みを生徒に聞くと
「三・百・六・十・五・日・やってます‼」
と力強い返事が。
私の耳が遠く何回か聞き返した結果なのだが。
そしてそれを聞いて、私も自分の祖父のことを思い出していた。
私は生後間もない頃から小学校に入学するまで、両親の仕事の関係で善光寺の裏の箱清水にあった祖父母の家で起きている間の時間を過ごした。
祖父はその家で自転車屋を営んでいたが、周りには同じような自営のお店がまだたくさんあった。
祖父の弟分が営む目の前のバイク屋さん、おつかいに行くと必ず何か持たせてくれたお米屋さん、右隣のちょっと耳の遠いおばあさんがやっていた雑貨屋さん、少し離れたクリーニング店、酒屋から転身したばかりのセブンイレブン、自営とはちょっと違うけど左隣の郵便局の局長さんの子どもとは保育園で一緒のクラス。
今はもう見る影もないけどあの時はまだあそこは「商店街」でみんなが知り合いだった。
あの時の祖父の様子を思い出してみると今で言うオンオフの境目が非常にあいまい。
自分の家で仕事をしていたらそうなるのかもしれないが、テレビを観ている所にお客さんが来て仕事をする、昼寝をしていてお客さんが来て仕事をする、孫(私)のご機嫌取りに出かけて帰ってくるとお客さんが待っている、こんな仕事の仕方だったような。
おおらかだった。
お客さんはお客さんだけどだから何?みたいな。
お客さんの方も勝手知ったるこの店、のような。
他のお店もたぶんそう。生活の一部に仕事があってオンオフを気にしていた人なんているのかなぁ?と思う。
祖父はちゃっかり日曜を定休日にしていたみたいだが、今回生徒から御祖父母様が用事がなければお店を開けていると聞いて、当時のあの町の様子を思い出したのだった。
物事の正解不正解を決めつけてその正解側にいないと安心できない、みたいな空気が現代にはあるけどもなんとかそのあわいを生きていきたい。
当時をそのまま真似るのは無理だけど、可能な限りおおらかに働きたい。
テレビを観ながら働きたい、という意味ではなく。
生徒に過剰に優しくするという意味でもない。
仕事だから仕事用の顔で生徒と接する。
そんな事をしないという意味で。
おおらかに、あわいを行く。
塾なので、多少の厳しさは必要だけど、そう思っております。
その結果、たまに机の上にレタスが置いてある塾になりました(なんのこっちゃの人はインスタ見てください)。